
研究内容 – 01
遷移金属-典型元素の協働作用による単純炭化水素類の分子変換反応の開発
石油や石炭、天然ガスに含まれる単純炭化水素類は化学的に安定で、その分子変換には高温・高圧といった過酷な条件が要求されます。遷移金属触媒は、これらを構成する化学的に安定な炭素-水素結合を活性化する上で有効な化合物ですが、金属に近接するための配向基の存在が必要となり、配向基を持たない単純炭化水素類の分子変換には 100-200 ℃ の加熱や強力な酸化剤等を必要とします。
一方、イリジウム触媒を用いて、単純炭化水素類の触媒的脱水素ホウ素化反応が報告されています。これは系内で瞬間的に発生するイリジウム-ホウ素共有結合上で炭素-水素結合が協同的に切断されることが計算科学によって示唆されています。
我々のグループでは、鉄-ケイ素結合上で様々な共有結合が協同的に活性化される研究をこれまでに報告しており、本機構に着想を得た遷移金属-典型元素の協働作用による単純炭化水素類の分子変換反応に取り組んでいます。
[学術論文発表後、詳細を記載予定。]
<研究費・業績>
- 文部科学省 科研費・基盤研究B 22H02089 (研究代表者:田原淳士)
- 田原淳士、〇深川寛太、土井隆行、日本化学会東北支部 令和4年度 化学系学協会東北大会 ポスター賞